生涯学習講演会

生涯学習講演会レポート

2020年

【11月開催】シンポジウム「言葉の通じないものと対話する方法 〜小径が開く時〜」

「多元的共生社会における生涯学習を考える」シリーズ第24回
講師:
鴻池朋子
アーティスト ドミニク・チェン
研究者、早稲田大学文化構想学部准教授
開催日:
2020年11月17日(火)
会場:
オンライン(Zoom)

大切なものは美術館の枠にはまらない

お二人の対談は、「グローバリズムとかの借り物の言葉を使わないで」と、言葉遣いそのものの確認から始まった。平日の夜。参加者は約100人。ユニークな展覧会を開いてきた鴻池さんと、それらを「おもしろいな」と鑑賞していたドミニクさん。話は自ずと「作品って、展示って、何なのか」に向かっていく。それはまるで鴻池さんの展覧会をドミニクさんと一緒に自由に観ているよう。最後にドミニクさんが「小径は一時的な獣道。放っておくとなくなる。でもそれがいい」と言えば、鴻池さんは「全く違う分野の人とでも開く道、抜け道を持っているのがいいな」。このシンポジウムそのものが視聴者にとっての“小径”になったのではないだろうか。

【9月開催】シンポジウム「アートを楽しむワークショップ体験ミュージアム」

「多元的共生社会における生涯学習を考える」シリーズ第23回
講師:
山原すすむ
グローバル&イノベーションコンサルタント 栄前田勝太郎
株式会社ゆめみ
開催日:
2020年9月5日(土)
会場:
オンライン(Zoom)

体験型ワークショップをオンラインで実現

鑑賞する、想像する、描いてみる、言葉にしてみる……。さまざまなアートの楽しみ方を盛り込んだ今回。ワークショップは2種類用意された。Aは対話型鑑賞、Bはブラインドスケッチ。Aでは現代アーティストの北桂樹氏をゲストに迎え、画面に写る北氏の作品を見ながら、参加者たちが感じたことを話し合った。Bでは2人ずつのグループに分かれ、一人が作品を見て言葉にし、もう一人はそれを聞きながら手元の紙にその作品を予想しつつ描く。できあがった作品は公開して確認。オンラインでもリアルのワークショップと変わりのない体験ができるよう、たくさんの工夫を重ねた回となった。

【7月開催】シンポジウム「平田オリザさんと考える いま「文化」を学びなおすということ」

「多元的共生社会における生涯学習を考える」シリーズ第22回
講演:
平田オリザ
演出家・劇作家
開催日:
2020年7月15日(水)
会場:
オンライン(Zoom)

初のオンライン開催 演劇がひらく対話力

財団主催シンポジウムでは初のZoomによる開催となった今回。平日の夜に、150名もの方が参加してくれた。演者の平田氏は舞台演出で活躍する傍ら、学校で演劇の授業も行ってきた。演劇は正解がわからない中で他者と話し合う。そのため、児童たちは相手が望むことを受けとめれば自分の意見が通りやすくなることを学んでいく。会話はあっても対話のない日本。伝わる話し方やエンパシー(共感)の大切さ、コロナウイルスでの市民の分断……。豊富な話題は兵庫県豊岡市で実施している文化と教育施策へ発展していき、最後には視聴者からの質問も受けつけた。

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