生涯学習講演会

生涯学習講演会レポート

2016年

【12月開催】シンポジウム「ディープ・アクティブラーニングとワークショップデザイン」

「多元的共生社会における生涯学習を考える」第13回
講演:
松下佳代
京都大学高等教育研究開発推進センター 高等教育教授システム研究開発部門教授
平田オリザ
青年団主宰、大阪大学コミュニケーションデザイン・センター客員教授
ナビゲーター:
蓮行
劇団衛星代表、大阪大学非常勤講師、特定非営利活動法人ワークショップデザイナー推進機構副理事長
開催日:
2016年12月25日(日)
会場:
京都大学 百周年時計台記念館 国際交流ホール

知見の深化を社会にどう適応していくか

松下佳代氏はフィンランド滞在中に、深さを追求する学習と出会い、ご自身の中で「ディープ」と「アクティブラーニング」がクロスしたそうです。「ディープ・アクティブラーニング」の定義は、「他者と関わりながら対象世界を深く学び、自分のこれまでの知識や経験に結びつけると同時に、これからの人生につなげていけるような学習」です。平田オリザ氏は、「対話劇をしよう」という氏が実施されている授業を紹介。演劇では「話さない」ことまで肯定され、個人の多様性を認めることができると言います。
その後、松下氏、平田氏、蓮行氏による鼎談を行い、次に「歩く&止まるゲーム」で参加者をグループに分け、各グループ内で質問を決めます。最後は、その質問一つひとつに3人が答え、会終了後も参加者から熱心な質問が続いていました。

【12月開催】シンポジウム「多元的共生をめざす社会を支えるコミュニティワーク」

「多元的共生社会における生涯学習を考える」第12回
講演:
武田信子
武蔵大学人文学部教授 臨床心理士 東京大学大学院教育学研究科博士課程修了/元トロント大学及びアムステルダム自由大学客員教授
開催日:
2016年12月4日(日)
会場:
東京大学 福武ホールラーニングシアター

シェアリングする心を持ち、広げていくために

武田信子先生の講演の特徴は、参加者自身が考え、動き、交流すること。アクティビティの多さが目立ちました。最初に、口角を上げて笑顔をつくる練習から始め、次に、多元的共生社会とは何かを体験するため、出身が同じ都道府県の人が2人以上いない5人のグループをつくります。あなたの住む地域にバルタン星人が来たらどうするか。それもグループで討論。容姿や言葉の違う人と接し、うまくやっていくために何をすればいいのかを考えます。移民を受け入れてきたカナダでの事例から、日本の子ども食堂や、日本コミュニティ七輪学会まで、具体例を数多くあげながら、この社会で共存していくための理論と実践を丁寧に話されました。

【5月開催】シンポジウム「生涯学習社会における越境の可能性を問い直す」
~「幸せと協創」促進への考察~

「多元的共生社会におけるコミュニケーション力」第11回
講演:
前野隆司
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科委員長・教授
モデレータ:
坂倉杏介
東京都市大学都市生活学部准教授、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任講師
開催日:
2016年5月22日(日)
会場:
慶應義塾大学三田キャンパス北館ホール

長続きする幸せは4つの因子

「金、モノ、社会的地位など、地位財型の幸せは長続きしない。長続きする幸せは、安全や健康に加え4つの心的要因がある」と前野氏は言います。ハッピーワークショップという活動を通して、「4つの因子をみたすということをよく考えて、みんなが前向きに楽観的にマイペースで自分らしく生きられる町づくりを考えると、本当に幸せな町づくりができる」と強調されています。ブラインドサッカー協会ワークショップの話しでは、音だけを頼りにボールを蹴る体験で「目の見えない人はなんてすごいんだ」と、尊敬を抱くようになり、それをもとに「多様性適応力評価尺度」を作ったと言います。また、坂倉氏の主催する「芝の家」や加藤せい子さんの「吉備野工房ちみち」の事例を取り上げ、共同性が高まっていくプロセスや達人育成の活動を紹介しながら、「幸せづくりをしたい人がいれば是非一緒に研究しましょう」と締めくくりました。

【3月開催】シンポジウム「しがらみを解く場と学びのデザイン」
~多様な大人のコミュニケーションを生み出すWSDという学びのカタチ~

「多元的共生社会におけるコミュニケーション力」第10回
講演:
佐伯胖
田園調布学園大学大学院教授
ナビゲーター:
蓮行
大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任講師
聞き手:
中脇健児
特定非営利活動法人ワークショップデザイナー推進機構 理事
開催日:
2016年3月20日(日)
会場:
京都市梅小路公園 緑の館イベント室

一人称で考え、しがらみを解くことが大切

佐伯教授は若かりし頃のアメリカ留学時代、友人から「キミの話しは“何が真実だとみなされているか?”ばかりだ。キミ自身はどう考えているのか」と言われ、いかに日本人が三人称で考えることが多いかに気づかされたといいます。また、牛丼の食べ方を学びにしようとしたが、だれもまともに取り合ってくれないという学生の話を例に出し、「これ面白いかな?」ということに敏感になることが大切であるとも言っています。「ほんとうの学び」の場づくりを深く研究されてきた認知心理学者でもある佐伯氏の興味ある話が随所で聞かれ、最後に「しがらみを解き、グループ意識を捨てろ」と訴えていました。引き続き興味の尽きない話はトークセッションに移り、参加者の様々な疑問に軽妙に答え会場を沸かせました。

【3月開催】トークショー「多元的共生社会における日本文化を考える」

「多元的共生社会における日本文化を考える」トークショー
ゲスト:
西浦喜八郎(アーティスト)
1970年東京生まれ。オハイオ大学院地球物理学修士課程終了。西浦焼の創始者、西浦圓治の子孫。草月流華道、石曹流茶花、志野流香道、表千家茶道、書道、陶芸、絵画などで活動、日本の伝統文化を深く愛する。喜八郎氏が表現する文化・芸術の世界を「西浦流」として創設。日本文化を楽しむ会等、各種教室も開催している。
聞き手:
苅宿俊文
青山学院大学社会情報学部教授
開催日:
2016年3月15日(金)
会場:
生涯学習開発財団会議室

受容する力で日本文化を広める

西浦さんは茶、香、花、書など幅広いジャンルで活躍中のアーティスト。目の前に現れることを素直に受容する独自のコミュニケ―ション力で日本文化を広めてきました。
トークショーでは「コミュニケーション」「アート」「学び」の3つの視点から生涯学習を提唱している苅宿先生ならではの切り口で、西浦さんのアーティストとしての原点や、「Nishiura Style」が共感される理由等、幅広くかつ奥深い話を聞くことが出来ました。
トークショーの後は西浦さんと苅宿先生を囲んでの懇親会。参加者が気楽にゲストと会話できる和やかな雰囲気で、参加者にとっては大変有意義な会となりました。

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