生涯学習講演会

生涯学習講演会レポート

2014年

【12月開催】シンポジウム「ワークショップデザイン×コミュニティデザイン」

「多元的共生社会におけるコミュニケーション」第6回
講演:
山崎亮
studio-L代表、東北芸術工科大学教授、京都造形芸術大学教授
インタビュアー:
中脇健児
特定非営利活動法人ワークショップデザイナー推進機構理事
ナビゲーター:
蓮行
大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任講師、劇作家
開催日:
2014年12月7日(日)
会場:
京都市梅小路公園 緑の館イベント室

自発的で継続されるコミュニティデザインを考える

山崎氏は各地域で住民参加型のコミュニティデザインに取り組んでいます。トークショーでは北海道の沼田町の事例が紹介されました。沼田町では広範囲の市街地を集中させ、財政を整えるコンパクトシティの実現を目指しています。そこで山崎氏は、沼田町でも住民たちに自分たちの町のこれからを考えてもらうワークショップを実施しました。役場の職員から町の現状について学ぶ勉強会「これから塾」を実施したことで、その後のワークショップでは住民たちから具体的な意見が出されたそうです。スタッフとの、また、住民同士の密なコミュニケーションを促すことで、住民たち自ら町を変えようとする気持ちが高まり、複数回行われる会でも継続して出席する参加者がほとんどとのこと。
この他、山崎氏は各地で住民たちに協力してもらい、アート作品をつくる活動なども積極的に行っています。
連帯感が生まれ、住民自ら継続させていく活動が今後のコミュニティデザインに期待されています。

【6月開催】シンポジウム「コミュニケーション教育を考える―言語力の不可避と不可能」

「多元的共生社会におけるコミュニケーション」第5回
講師:
苅宿俊文
青山学院大学社会情報学部教授
開催日:
2014年6月7日(土)
会場:
東京大学 福武ホールラーニングシアター

リフレクティブ・ラーニング「省察」振り返りながら考える

さまざまな価値観を持った人たちが暮らす中、お互いが納得できる答え「納得解」を導き出すコミュニケーション能力が求められています。円滑なコミュニケーションは、自己と他者の「あたり前」にズレがあることを認識していることが不可欠です。日本の教育現場に「使える学習」が登場した事例、なでしこジャパンでの「論理的に考える力と伝える力」の育成など、コミュニケーションスキルのための新たな取組みを紹介します。情報化社会では知識もネットにアクセスして簡単に手に入り、学ぶことが激変しています。そのような中、これからの教育は、自分が考えたことをもう一度、自分で批判的に見て振り返る「省察」(リフレクティブ・ラーニング)が大切です。そうした取り組みの一つとして、大学の授業で行われている「体験−省察−理論」のワークショップも紹介されました。

【3月開催】シンポジウム「対話的コミュニケーションとしての学び ─「学びの共同体」の学校改革」

「多元的共生社会におけるコミュニケーション」第4回
講師:
佐藤 学
学習院大学文学部教授
ナビゲーター:
苅宿俊文
青山学院大学社会情報学部教授
開催日:
2014年3月2日(日)
会場:
東京大学 福武ホールラーニングシアター

学び」は子どもも親も教師も。「聴き合う」ことが大切

佐藤氏 が今まで訪問された学校は海外も含め3,500校にものぼります。話された内容は、こちらの思い込みを覆すものばかり。コミュニケーションは「発信」より、まず他者の声を聴く「受信」が大切であると言います。また活発な話し合いに「学び」はないとのこと。なぜなら、活発というのは既に分かったことを話しているにすぎないからです。そして、できない子の特徴は一人でやろうとするからで、「分かった人は教えてあげて」と指導するより、「分からなかったら友だちに聞くんだよ」と自発性を促した方がよいと言います。
講演後、苅宿氏が会場からの質問をまとめました。「学校改革はどう始めるのか?」「聴き合う関係の最初はなにか?」などの問いに対して、佐藤氏はご自分の実践のなかから具体例を出して丁寧に答えられました。

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