受賞者インタビュー
第2回 2021年度 受賞者
【活動内容】
知的障害のある人たちがスポーツをする場と競技大会を提供
【受賞者】
公益財団法人スペシャルオリンピックス日本
理事長 有森裕子さん
“Be with all”
誰もが可能性を持ちうる社会に
第2回となる2021年度の「生涯学習開発財団松田妙子賞」は、公益財団法人スペシャルオリンピックス日本(有森裕子理事長)の活動が選ばれた。スペシャルオリンピックスは、1968年に故ケネディ大統領の妹ユニス・ケネディ・シュライバーによって設立され、日本の組織は1994年に生まれた。知的障害のある人たちがスポーツに取り組むプログラムを年間を通じて提供し、成果発表の場としての国内大会の開催、そして世界大会への選手派遣を行う。有森裕子さんは2008年に理事長に就任。全47都道府県の地区組織開設が完了すると、2012年に公益財団法人として改組し、活動が強化された。
なぜオリンピック級の開会式が?
ケネディ家の声掛けによって、世界中の影響力のある人や発信力を持つ著名人が応援をされているのです。世界大会は規模も参加国数も、オリンピックとそう変わらないのですよ。このところ日本でもパラリンピック競技への注目が高まっていますが、アメリカではスペシャルオリンピックスの方が知名度が高いそうです。
世界大会で行われる競技は、一部を除いてはパラ競技と同じですが、残念なことに知的障害を持つ人が参加できるのは、パラリンピック全体の3%しかないのです。アスリートがますます健康や体力を増進し、競技力を向上させ、大会に参加することで自信や喜びを得てほしい。そして、出会いや交流を広げられるよう、活動を充実させたいと思っています。
“Be with all” をどう実現?
2020年からの私たちのビジョンです。松田妙子賞が掲げる “Share your happiness” にも通じると思うのですが、「多様な人々が生きる社会の実現」を目指しています。今の世の中の動きにぴったりの言葉で、真剣にインクルーシブな社会にしていきたいと感じています。
具体的にはスポーツを通じた「ユニファイド活動」を推進しています。知的障害のある人(アスリート)と知的障害がない人(パートナー)が、同じプログラムに参加したり、混合で試合をしたりするのです。日本ではバスケットボールやサッカーが盛んに行われていて、世界大会にも取り入れられています。実は参加したアスリート以上に、パートナーの人間的成長が見られます。なぜかというと、圧倒的なスペシャル感がそこでは得られるからなのです。
誰もが有森裕子になれる?
私は生まれながらに股関節脱臼がありました。幸運にも私の親は、私にいろんな機会を与えてくれ、やりたいことを積極的に応援してくれました。でも、場合によっては親が心配して、激しい運動は制限されたかもしれないのです。機会を与えられたからこそ走る楽しさと出会い、可能性を信じたからこそオリンピックのメダリストにもなれたと思っています。私は選手時代も、現在の活動においても、自分が持つすべての可能性を信じて向き合ってきました。障害の有無にかかわらず誰もが「可能性を持ちうる」と感じられることが大切です。
この賞をいただき本当に励みになります。11月に広島で、第8回スペシャルオリンピックス夏季ナショナルゲームを開催予定です。ぜひ応援、観戦に来てください。