博士号取得を目指す50歳以上の方を支援
当財団は、博士号取得を目指す50歳以上の方に向けた支援事業を、2011(平成23)年度より行っています。独創的で社会的に意義のある研究に取り組んでいる、博士論文を執筆中あるいは提出が予定されている50歳以上の方が対象です。理系・文系を問いません。皆様からの積極的なご応募をお待ちしております。
なぜ50歳以上なのか
この賞は、当財団の前理事長松田妙子が、1999(平成11)年に71歳で博士号を取得した自身の経験を元に発案されました。高齢化社会が進み、博士号に挑戦する社会人も増えています。しかし前理事長は、社会人を対象とした奨学金が少ない現実を知り、ならば自身が支援しようと決意しました。そのため当初から「50歳から」としています。
博士号取得者インタビュー
博士号取得助成金授与
2023年2月
早稲田大学博士号(文学)取得
中本千晶さん(取得時55歳)
【論文テーマ】
950〜60年代の宝塚歌劇における取り組みの多様性
―<虚実><和洋>の相克から「タカラヅカ様式」の獲得へ―
博士号取得助成金授与
2022年3月
佛教大学博士号(文学)取得
林 竹人さん (取得時71歳)
【論文テーマ】
絵師 高田敬輔が描く浄土の世界 ―「選択集十六章之図」及び「無量寿経曼荼羅」を中心として―
博士号取得助成金授与
2023年9月
大阪大学博士号(文学)取得
玉村 紳さん(取得時70歳)
【論文テーマ】
両大戦間期の日英両帝国経済圏をまたぐ「商品連鎖」―越境するマガジ・ソーダとガラス製品―
当財団の博士号取得支援事業に採用され、博士号を取得された方々をご紹介します。
(掲載の所属・研究テーマは、当事業応募時のものです。)
博士号取得者紹介
2023(令和5)年度
博士号取得支援者決定!
2023年度・博士号取得支援事業合格者の選考決定証授与式が、2024年3月15日、東京・虎ノ門の生涯学習開発財団にて行われた。本年度は51歳〜75歳までの7名が合格者となり、張競選考委員長から選考決定証と研究助成金の目録が授与された。
本支援事業の合格者は前年度までで93名、本年度の合格者7名を加えるとちょうど100名となり、記念すべき授与式となった。
博士号取得を支援する制度は他にもあるが、50歳以上を対象とする支援事業は当財団以外には見あたらず、むしろ年齢の上限を設けている制度が多い。約40年にわたって生涯学習社会、生涯現役社会を推進してきた財団としては、アクティブなシニアの活躍が望まれている現代に先んじる形で、支援100名を達成できたことは大変うれしく、意義深いものであると自負している。
合格者と研究テーマ
- 石橋丈史
- 「初期唯識思想から見た「楞伽経」の成立史的研究」
- 加藤康一
- 「結晶格子(トポロジカル・クリスタル)におけるスペクトル特性」
- 木村元太郎
- 「『歎異抄』解釈の思想史的変遷とその存在意義」
- 曽根博文
- 「競争優位獲得と持続的経営戦略におけるイノベーション過程の研究」
- 外谷 新
- 「自動運転時代に向けた高精度衛星測位技術による道路地図情報の拡充と高度利用に関する研究」
- 松井一樹
- 「他者との関係についての認知メカニズムに着目したEBPM向けの社会シミュレーションモデルの構築」
- 吉川貴則
- 「対外循環灌流におけるpH(Potential of Hydrogen)管理が、脳循環及び脳組織におよぼす影響について」
選考の言葉
選考委員長 張 競 明治大学名誉教授/博士(学術)
本財団の博士号取得支援事業第14回の募集は昨年の年末に締め切られ、56名の応募がありました。第一次選考では15名の候補者が選び出され、2月15日、第二次選考は対面とオンラインの同時併用で行われました。最終選考の結果、7名の合格が決定されました。
3月15日、財団において授与式が行われ、出席した合格者の一人一人に授与証書と目録が手渡されました。
今年も理系、文系ともに優秀な応募者が多く、とくに第一次選考の合格者は甲乙をつけがたい方々ばかりでした。佐藤玖美理事長の特別な計らいで合格者を一名増やしましたが、採用枠に制限があり、最終合格者を絞らざるをえないのは例年と変わりません。惜しくも選に漏れた方は来年以降も応募するよう心待ちしています。
めでたく採用された方々はこの機会を大切にし、博士号の取得を目指していっそう精進していただきたいと思います。そして、学位取得後も新しい目標を目指して生涯学習を続けてください。
皆さんのご活躍を支援し、生涯学習を一層推進するために、選考委員一同は皆さんとともに、本事業のますますの発展のために微力を尽くしたいと思います。今後ともよろしくお願いします。