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博士号取得者インタビュー

2019年(令和1)年度 博士号取得支援助成金授与

2020年3月 富山大学博士号(工学)取得
金山義男 さん(取得時56歳)

【論文テーマ】 非接触尿流計システムに関する研究

坂槇義夫さん

「やればいいんですよ。やっていれば誰かが助けてくれる。チャレンジの選択肢として大学もお勧めです」と金山さん。

50代での博士号取得経験を生かし、
産・官・学の橋渡しを担う

排泄データを羞恥心や負担なく取得可能に

 金山義男さんの博士論文テーマは「非接触尿流計システムに関する研究」。大手メーカーの新規事業に関わるエンジニアらしく、開発していく中から発展したピンポイントなテーマなのが特長だ。
 病院や介護現場での排泄物測定は、血圧や体温などの測定と並んで、治療や介護プランを立てる上で欠かせない。また、疾病予防・健康寿命の延伸を国が掲げる現代においては、健康時・若年時からの記録が有益と考えられている。しかし、排泄する姿や排泄物を、医療・介護従事者とはいえ、他人に見られるのは誰しも心地よいものではない。また、医療・介護従事者の側にとっても、排泄物の測定・処理は、感染予防などの観点から、取り扱いにはそれなりの労を要する
 本研究では、両者の悩みを解決する非接触尿流計システムによる尿流測定を実現した。システムの特徴は、非接触で尿流を測定でき、しかも、既存の洋式トイレに後付けで設置できることだ。非接触の従来システムもあるにはあったが、大幅なトイレの改修が必要で価格も相当に高かった。金山さんの研究では、健康増進社会の実現に資するために、簡便・廉価で普及しやすい製品開発をめざした。

ぜひ大学に通って世代間交流を

 所属企業の目的は、未病、予防、健康寿命延伸のために、ITを駆使したヘルスケアサービスを提供すること。金山さんの使命は、そのためのシステムを開発し事業化すること。非接触尿流計の開発はその一部で、それ自体が目的ではなかったが、ビジネスとして大学との共同研究の成果を最大化するためには、相手の懐に飛び込むのが近道と考えた。それが博士号取得を目指すきっかけだった。毎週末、自転車で大学に向かう金山さんを、家族は温かく送り出してくれたそうだ。
 「性格にもよりますが、私はキャンパスに通って論文を書いて良かったです。若い学生との意見交換や一緒に行く学会も、楽しかったです。オンラインでもいいから世代間交流はお勧めします」

大学客員教授として産・学をつなぐ役割

 博士号取得から1年たった本年(2021年)4月、新たに「富山大学経済学部データサイエンス客員教授」の肩書が増えた。大学に行くのは週1回程度、授業をするわけではないが、大学と地元産業界とのつなぎ役として奔走し、大学教員、学生のための実践的な研究課題を準備するなど、講座運営の大事な役割を担っている。
 「50歳を過ぎて、企業に在籍しながら博士号に挑戦した人間、しかも若い学生と一緒に勉強した人間だからこそできることはあるはずです。以前はよくわからなかった先生の考え方が、最近は理解できて産業界に伝えられるようになりました。また産業界の考え方、進め方を大学へ伝えています。博士号はひとつの目的でしたが、ここから大事なのは知見を世の中に活かすこと。エンジニアとしての産の視点、学術的視点、そして社会的視点、同じ事象を多視点で見て、社会貢献につなげたいと思っています」

大好きな地域とずっと関わっていきたい

 人なつっこく明るい性格で、初めて会う相手ともすぐに和やかな空気をつくり出す金山さん。職場でも、産・官・学交流の場でも、そういう雰囲気づくりは大切にしていると言う。
 「大学の先生から『エンジニアだね』とよく言われます。改めて自分でもそう感じます。現場が大好き。プロジェクト達成のための目的思考。仕事は独りではできませんから、想いの共有から対話・共創活動へと、皆がモチベーションを高めてスムーズに流れるよう心がけています」
 もともと自宅、職場とも富山市内だったが、博士号取得により、富山大学や市内の地域企業ともさらに親密になってきた。データサイエンスを用いたまちづくりや、ヘルスケア、観光など、仕事を離れても地域と関わっていきたいと言う金山さん。

生涯学習情報誌 2021年12月号掲載記事より

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